カムホルダーボルトのトルクがかからないので修理します。
エキゾースト側の4本だけなので、車載のままでの修理です。
他の12本は、しっかりトルクが掛るので大丈夫です。
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ヘリサートは入っていましたが、
周辺のネジ山ごとヘリサートが上がってきてしまいました。
4ヶ所とも同様です。
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取り出したヘリサートです。
一番左は2D(長さが直径の2倍タイプ)の新品です。
使われていたのは巻数から1Dのようです。
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周囲を厳重にマスキングしてから修正作業に取り掛かります。
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抜けたヘリサートで傷ついたネジ山の奥には、まだ十分な深さがあるので、
底の方に新たにヘリサート用のネジを切ります。
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底まで1ミリ余裕を残しただいぶ長い53ミリのボルトを作り、
ネジ山を長く使って強度を持たせます。
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ヘッドカバーからのオイル漏れ対策は、
アセトンで完全脱脂しておくと効果があります。
特に、カムプラグをアセトンで脱脂しておくと、
液体ガスケットがしっかり張り付くので効果大です。
次に分解した時に、全面張り付いていたことが解ると思います。
ゴム表面にはシリコンなどの離型材が残っているので、
これをとるには、ブレーキクリーナーでは不十分になりがちです。
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オイルクーラーの取り出し付近からのオイル漏れも発生していました。
分解点検しても明確な原因は見当たらないので、
できるだけ予防措置をとっておきます。
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テーパーネジ部はシーリングをやり直します。
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Oリングに接する面は擦り合わせして面粗度を上げておきます。
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プレッシャースイッチのOリング潰れ代が少ないようです。
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口元を少し削って低くし、Oリングは交換しておきます。
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後はチェック走行で確認します。
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ヘッドナットも2度目のトルクチェックをしておきます。
ナットの半数は少し締まる状態でした。
こういったエンジンの構造の場合、これはナットが緩んだのではなく、
ガスケットの潰れが増えたり、
メタルガスケットの場合は反発力が落ちたりして起きます。
熱膨張率の高いアルミを熱膨張率の低いスチールボルトで締結する構造は、
高温になればなるほど、その膨張率の差からボルトの軸力が上がります。
すると、常温での規定トルクで発生した軸力をかなり上回るので、
ガスケットの潰れやボルト座面の座屈が起きて、
常温に戻った時軸力が落ちるのです。
自動車メーカーはこういったことも考慮して設計しており、
締め付けトルクも適正に設定されています。
ボルトやガスケットが変更されたり、
想定外の温度環境になった場合はこの限りではないということです。
因みに、長いボルトで締結することは、
ボルト自体のバネ定数が低いので長さの変化に対して追従してくれる
という意味があります。
長いボルトは、温度変化のある部分の締結には適した設計なのです。
続いて、
メーターインジケーターのパネルが取れてしまったので、
接着しておきます。
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新しく付けた、タンクのブリーザーには、
両通タイプのチェックバルブを付けておきます。
吐き出し方向も通じていますが、少し抵抗があるタイプです。
なので転倒時のガソリン漏れは少なくなっています。
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後はタコメーターの調整です。
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