ヘッドカバーからオイル漏れしているので修理します。
エンジンオーバーホールしたての車両を購入されたばかりでした。
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J系で良く起きる、左前側カムプラグ周辺からのオイル漏れです。
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右側もよく見ると僅かにオイルが滲んでいます。
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ヘッドカバーを外すのでコイルを先に外します。
薄いアルミ板で作られていたコイルブラケットは折れていました。
ここはノーマルの鉄板製でも折れるので、
作り変える際は十分な強度の材料か、逆に柔軟な素材を使用すべきです。
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ヘッドカバーを開ける機会があれば、
必ずカムホルダーのトルクを確認しておきます。
エキゾースト側の3本が緩んでいました。
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1ヶ所トルクがかからず空回りするので雌ネジを修理します。
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既に16ヶ所全てにヘリサートが入っていましたが、
ヘリサートごとネジが上がって来てしまいました。
先ず、ヘリサートを取り出します。
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左側が取り出したもので、右側が新品の長さ2Dの物です。2×直径の意味です。
ヘリサートの長さは、通常直径の1倍、1.5倍、2倍などの種類があります。
取り出した方は1.5Dのようです。
正しくは先端近くの切り欠きから先を折り取るのですが、
折り曲げ部分からちぎられたような断面です。
逆回転させて折り取るとよくこうなります。
こうすると先端が変形するのでボルトがそこで引っ掛かり、
ネジ山をかじるので間違った取り付け方です。
長さも2Dを使うべきです。
新しくヘリサートを入れるために、下穴を15ミリほど更に掘り下げます。
幸い、プラグ側のネジ穴の奥は、十分な肉厚があるので可能ですが、
反対側のネジ穴は直ぐにヘッドを貫通してしまうので余裕はありません。
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ノーマルボルトでは届かないほど深いところにヘリサート用ネジを切ります。
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深い穴にヘリサートを挿入するために、
特製の長いインサート工具で挿入します。
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予定の位置まで入れたら先端を折り取ります。
ヘリサートは底まで入れてしまうと折り取れないので、
止まり穴の場合は残り数山分手前までで挿入を止めます。
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正しく折ると、切り欠きで綺麗に折れ、バリが出ません。
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新しいボルトは15ミリほど長い物を使用します。
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ボルトはカムホルダーの高さより奥まで入ることを確認しておきます。
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今度はしっかりトルクを掛けられるようになりました。
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他の全てのネジ穴にはオイルが溜まっていたので綿棒で吸い取ります。
オイルが溜まっていると締まり切っていなくてもトルクがかかるので、
緩みの原因にもなります。液体は圧縮できないからです。
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テンショナーのプッシュロッドも一部が欠けたような変な形をしていました。
一番左が付いていたもの。右は正常品。
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内視鏡で覗いてみましたが、
エンジン内部やチェーンガイドは特に異常はありません。
念のため、手持ちのテンショナーに交換しておきます。
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いざ、カムを組み付けようとしたら、
あと3本のボルトのネジが上がってしまいました。
エキゾースト側の赤いマーキングを付けたボルトです。
全体的に手でスムーズにねじ込めないボルトが多かったので、
この際全部のヘリサートをやり直した方が良さそうです。
数が多いので、ヘッドを外して修理した方が効率がいいですね。
バルブクリアランスも限度外が3ヶ所あったので、
エンジン内部に信頼性があるかも疑問です。
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